西沢立衛対談集

kta6662009-11-06

日本を代表する建築家の一人、西沢立衛
様々な建築家と対談した企画。


対談する相手の建築家がそれぞれ有名な人たちで、
いろんなところで自分の建築観を語っているので、
目新しい話は少ない。
でも、対談なので相手がその話をどう返すか、
どんな話につながるのか、
相手はその価値観と同調しているのかずれているのか、
それが面白い。
穏やかに見える会話の中に、
それぞれの建築家の思いがぶつかり合う。


西沢立衛は物腰が柔らかで、偏りがない。
昔から彼の文章を読んで感じる印象は
「当たり前のことを言う人だな」という感じ。
それは悪い意味ではなくて、
「みんな感じているけれど誰も意識していないこと」を
掬い上げて喋っているという意味で、
それが自然にできている人である。
あまりに自然で、聞いているだけだと
当たり前すぎて大事なことのように感じないときもあるけれど、
たぶん、自分が喋るときはこんなに
ニュートラルじゃないだろう、と思う。


思い入れや先入観を一度とっぱらって、
浮き上がってきた感覚をつかみ取る。
デザイナーというのは
この「偏りのなさ」が重要な気がしている。


建築家同士の対談なのに
皆ところどころで建築と関係ない話をします。
その内容が不意に建築の話に結びつく。
これが「体験から表現する」という
デザイナーが備えている習慣のように感じられて、
これが無意識にできることもまた
重要な気がしました。