るきさん

kta6662013-08-08

高野文子が1988〜92年にHanakoで連載していた漫画。
まさにバブルまっただ中から崩壊した余韻の少しだけをかぶらせて
連載が終わっている。
主人公のるきさんは、バブルとはあまり関わりなく
マイペースに過ごしている。
いや、自由ではつらつな部分は
この頃の女性像としてあるかもしれない。
男女の関係もカラッとしている。
友達のエッちゃんはバブルにふさわしいような
ファッションや行動を示していて、
ひと昔まえのドラマなんかを思い出す。


同じ靴を2つ買うとかお風呂でコーヒー呑むとか
年賀状出すとか出さないとか。
そんな日常。
るきさんは流行に無頓着で、
電車の中でマスクしながらスポーツ新聞を読むような
人の目を気にしないようなひとだけれど、
日常を自分の幸せの基準で行動している。
ガサツに見えるけれど効率的だったり、
無駄に見える時間が落ち着けるひとときだったりしているのだ。
そういう、世の中の常識や価値観を
自分のフィルターを通して暮らすひとって
丁寧に生きてるなと思う。


「黄色い本」ではじめて高野文子を知って、
気持ちの良い線と構図を描く人だなあと思っていた。
この漫画ではさらに色づかいにもセンスが感じられる。
読みやすくて、体の重心や勢いがよく現されている。
線が少ないのにうまさを感じられるのっていいよなあ〜。


日常の仕草や会話や歓びに共感できて
笑える漫画は数あれど、ラストが予想外だった。
不自然ではないけれど、そこまでの枠を飛び越えるようで
気持ちが軽くなった。