人類と建築の歴史
建築史家・藤森照信が人類と建築の歴史を書いた本。
それこそ人間がマンモスを狩っていた時代から現在までを
わかりやすく平易な文章で解説している。
とはいっても、
中世から現代は建築のあり方が世界によって多様である為に、
かなり要約して書いてあり、この本のほとんどは
石器時代の世界の話を綴っている。
石器時代の遺跡や発掘された住宅の面影を
持論を交えながら論を進めている。
藤森曰く、
「家や建物に関心の向いてきた人や、将来、
建築家になろうと思う人、
いってしまえば建築の初心者や初学者に向けてこの本を書いた。」
とのこと。
そもそも建築とは何なのか。
それを藤森らしく解釈してゆく本である。
この本の中で藤森は、
「建築の外観はスタンディング・ストーンから始まったのである。」
と書いているように、
宗教が建築の誕生と深く関わっていることを示している。
もともとの、建築の設計の中心にあった思想はその宗教なのだ。
神聖なものの顕在化。神を祀るためのデザイン。
沖縄の御嶽(うたき)や春日大社若宮の話は興味深い。
モダニズム建築の誕生から
スクラップアンドビルドで
消費社会の器に成り下がってしまった建築の
本来のあり方を考え直すという意味で
この本は面白く読めると思います。
この著者の建築が好きなひとにとっては
この本で彼のルーツがわかるかなという感じです。