人類と建築の歴史

kta6662007-07-24

建築史家・藤森照信が人類と建築の歴史を書いた本。
それこそ人間がマンモスを狩っていた時代から現在までを
わかりやすく平易な文章で解説している。
とはいっても、
中世から現代は建築のあり方が世界によって多様である為に、
かなり要約して書いてあり、この本のほとんどは
石器時代の世界の話を綴っている。


石器時代の遺跡や発掘された住宅の面影を
持論を交えながら論を進めている。
藤森曰く、
「家や建物に関心の向いてきた人や、将来、
建築家になろうと思う人、
いってしまえば建築の初心者や初学者に向けてこの本を書いた。」
とのこと。
そもそも建築とは何なのか。
それを藤森らしく解釈してゆく本である。


この本の中で藤森は、
「建築の外観はスタンディング・ストーンから始まったのである。」
と書いているように、
宗教が建築の誕生と深く関わっていることを示している。
もともとの、建築の設計の中心にあった思想はその宗教なのだ。
神聖なものの顕在化。神を祀るためのデザイン。
沖縄の御嶽(うたき)や春日大社若宮の話は興味深い。


モダニズム建築の誕生から
スクラップアンドビルド
消費社会の器に成り下がってしまった建築の
本来のあり方を考え直すという意味で
この本は面白く読めると思います。
この著者の建築が好きなひとにとっては
この本で彼のルーツがわかるかなという感じです。