ベルリン・天使の詩

kta6662008-09-21

この映画を見た人が口をそろえて「美しい」と言う。
それじゃあどんなものかと思って観てみると本当に美しい。
あまりにも絶賛される作品なので
皮肉のひとつも言いたくなってしまうけれど
残念ながらぐうの音もでない。傑作。


ダミエルは長い間人間の歴史をみてきた天使。
天使たちは人間の心の声を聞くことが出来る。
ある日ダミエルは、
サーカスの空中ブランコを練習する女性、マリオンの心の声を聞く。
次第にマリオンに心惹かれ始め、人間になりたいと思うようになる。


いろんな人たちが同時にそれぞれの思いを抱えて生きている。
天使はそれを漂いながら観察する。
俯瞰的なその視点が、
僕たちが普段当たり前に感じている事実を浮き彫りにしている。
ひとりひとりが確実に世界に参加している。
その素朴な喜び。


中でもベルリン図書館のシーンは印象的。
膨大な量の本の中から一冊を手に取って読む時、
ここではないどこかの国のことに思いを馳せる。
自分の存在が相対化されるような一瞬の感覚を思い起こさせる。
谷川俊太郎の「朝のリレー」を思い出しました。