「建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳」展

kta6662008-08-04

  • 場所 国立近代美術館 ギャラリー4
  • 会期 2008.06.03~08.03/10:00~17:00(月曜日休館)
  • 入場料 一般420円 大学生130円 中高生および18歳以下・65歳以上無料

青森県立美術館の設計などが有名な青木淳
スイスの建築家、ペーター・メルクリ。
この二人の建築における思考を辿る展覧会。
小規模ながら建築関係の人たちの間ではなかなか盛況だったようだ。


それぞれ実際に計画したプロジェクトに関して、
メルクリのスケッチが壁を廻るように展示され、
その真ん中に、浮いた雲のようにつり下げられた板の上に
青木淳スタディした模型がぽつぽつと置かれている。
全体的に「かわいい」雰囲気が醸し出されている。
会場構成もシンプルで説明的でない。
(スケッチに付記されていたコメントは少しオーバーな文章で
いらないんじゃないかと思ってしまったけれど)


説明的でないのは、青木やメルクリがそのスケッチや模型を
説明できないということが根本にあるんだと思う。


いろんな可能性を探りながら手を動かして、
試行錯誤しながら少しずつ判断を積み重ねていく。
その判断が積み重なってようやく自分で
「ああ俺はこういうことがしたかったんだな」とわかる。
それは、「良い空間」を一義的に、
恣意的に決めつけるようなデザインを避けるためだ。
青木淳の方に特にその感じが見られた。


デザインは、その基壇に経済がある以上、
需要に対する応答の必要性がつきまとう。
特に建築はその応答が複雑で規模が大きい。
そんな中で、
この展覧会はそういった意味の応答から
少し離れてデザインの楽しさを感じられる
ポジティブな展覧会。


個人的には青木淳の模型に
鳥の絵柄の紙が貼りつけてあったこと、
メルクリのスケッチに
鮮やかな色がつけられていたことが良かったです。
考えてる時にわくわくしている感じが伝わってきました。