TOKYO STYLE

kta6662008-05-18

『POPEYE』『BRUTUS』の編集を経た都築響一は、
1993年に東京に住む若者たちの生活の実態をとらえた
写真集『TOKYO STYLE』を京都書院から出版し話題となる。
これはそれが文庫化されたもの。
2001年にはこれに続く『賃貸宇宙 UNIVERSE for RENT』(上・下)
が発表されている。


華やかなインテリア雑誌によって
「おしゃれ」で「かっこいい」
デザインが知られるようになってきた。
しかし実際は、小さい間取りの中に、
多くの(個人的な思い入れのある)物を詰め込んで
僕らは生活して、そこそこ満足している。
(そこそこ、という言葉がとてもしっくりくる)


東京の部屋は狭く、物が溢れている。
一人当たりが住む住居の面積と、物の豊かさのバランスが
海外の先進国のそれと大きく違う。
これが日本、特に東京を東京らしく見せている秘訣のひとつだ。
ここに載っている部屋の多くは雑然としていて、
しかしなにか生き生きとした感じがある。
部屋を見るとそこに住む人の人格まで透けて見えてくるような。
悪く言ってしまえば「生活感丸出し」なんだけれど。


美しい風景のありかたを考えることは
ここから始まるような気もする。
ティッシュ箱やスーパーのチラシのような
生活感を切り離したり、フタをしてしまうような
デザインは嘘くさい。
このいまの実態を肯定するでもなく、否定するでもないような
風景のつくりかたを考えなければならない。
ものの量。配置。色。キャラクターグッズ。窓。
何もない気持ちよさと何でもある気持ちよさ。