PIPILOTTI RIST: KARAKARA

kta6662007-12-03

  • 場所 原美術館(HARA MUSEUM OF COMTEMPORARY ART)
  • 会期 2007.11.17~2008.02.11/11:00〜17:00(休館日:月曜日, 12.25-01.14, 01.15)
  • 入場料 一般1000円 大・高生700円 小・中生500円

スイス人女性アーティスト、ピピロッティ・リストの個展。
「からから」というタイトルは、ピピロッティ・リスト自身がつけたものである。
原美術館の解説によると、
乾燥した状態を示す擬態語でもあり、
屈託のない高らかな笑い声を表す擬声語でもある
この日本語を選ぶことで
学問的な難しいフェミニズムを超え、
からからと笑いながら自らの女性性を肯定している
自身の態度を宣言しようというものであるらしい。


ヴェネチアビエンナーレでも話題を呼んだ映像作品
「Ever Is Over All」など11点を展示。
床に映し出された映像や立体物に映像を映し出すインスタレーションなど、
単なる映像作品に純化させたものではなく、
見る行為、姿までを問いかけるような作品が中心である。
映像がものにあたって揺らめく様を目の当たりにして、
その映像の物語性よりも、
それが照射されている風景、
または見に来た人がそれを覗き込んだりしている様が
強く印象に残った。


室内なのに、夕日が穏やかに景色を映し出す
野原にいるような感覚になったり、
枯れ葉になって宙を舞っているような感覚になったり。


短絡的な解釈をすると、
映像という「時間」「ビジュアル」を支配するものと、
光という空間の境を支配するものが交わることで
時間も場所も全く今とは違うところにトリップしてしまうような
錯覚を目指しているのかなあと思いました。
でも、それはあくまで方法論で、
そのきっかけとなる日常の風景に輝きを見いだす
彼女の感受性があっての事で、
それが人々の共感を呼ぶのだろうけれど。


既視感を利用したユーモアがありながら、
何か見た事のないようなものを感じられる
面白い展覧会です。