第10回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展帰国展「藤森建築と路上観察」

kta6662007-06-01

昨年の第10回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展で開催された
「藤森建築と路上観察:誰も知らない日本の建築と都市」。
この展覧会はその帰国展として開催された。
藤森は日本近代建築史家として有名だが、
1991年から実際に建築作品の制作を始める。
「高過庵」「ニラハウス」などの作品で話題になったように
自然素材を用いた独特な作風が特徴的である。


入り口から入ってすぐに壁や柱などのサンプルが並ぶ。
序文には、「建築において重要なのは何か」について
まわりは空間だとか構造だとか思想だとか言うけれど
「私は小さな声で『シアゲ』と答える」、とある。
泥や漆喰、銅板などの今までの建築作品で用いた仕上げや、
木材を加工する道具(チェーンソーや曲面カンナ、ナタなど)を、
断面詳細図とともに紹介している。


実作の内部空間を示す模型は展示されておらず、
その代わりに木をくりぬいてつくった
オブジェのような模型のようなものが置かれていたりする。
後半では、土塔と呼ばれる巨大な土の固まりや
縄で編まれた小屋が展示されている。
100年後の未来を描いた大きな模型も
なかなか見応えがある。
路上観察学会という赤瀬川原平南伸坊らとともに
行ってきた面白い町の形跡を追った活動も同時に展示されている。


藤森照信という建築家は
近代建築史家という肩書きのもとに、
あらゆる建築を相対的に批評した上で
自分の作風、責任の負い方をうまく捉えている建築家である。
肩肘を張らずに、でも押さえるツボはきっちりと押さえて
建築を作っている。
そのスタンスに憧れるし、羨ましいと感じてしまう。


まだ実際の建築物を見に行ってないので
いつか必ず行ってみたいと思っています。
あと、茶室を作ってみたいな。