星を継ぐもの

kta6662012-02-06

ハードSFの名作といわれた作品。
無名だったジェイムズ・P・ホーガン
この作品によって世に広く知られることとなった。


月面で発見された死体。
チャーリーと名付けられた死体は
なんと5万年前の死体だったという
驚愕の事実から、謎が謎を呼び、
主人公であるハント博士をはじめ
科学者たちが調査や議論を重ねながら核心に迫っていく。


この物語では、そのチャーリーの謎を中心として
大きくぶれていくことはない。
想像の範疇を超える時空のスケールに
真っ当に向き合った作品であり、
謎に迫る科学者たちの感情の揺れや人間関係の展開が少なく、
あくまで彼らは観察者であることで、
宇宙と歴史が巨大なスケールを対象化され描写されていく。
宇宙は途方もなく広く、歴史は想像を超えて長いことが
感じられてなんだか心地良い。


一方で、チャーリーというひとつの死体から
現代科学の矛盾が浮かび上がりつつも、
それを解決するような仮説をたてていく科学者たち。
次から次へと新しい謎と事実が応酬する様は読み応えがある。


SFといえば触れたことがあるのは
漫画か映画くらいのものだったけれど、
初めてSF小説を読んで、
数億円をかけてCGで表現された銀河の映像よりも、
巧みな文章の方がその終わりのないスケールを
現すこともあるのだなと思えて、
もう少しいろいろとSF小説を読んでみようかな
という気持ちになれたのだった。