夢で会いましょう

kta6662009-09-18

村上春樹糸井重里の競作。
この組み合わせもなかなかお目にかかれないなと
思っていたら、この企画は
1980年頃に行われたものだった。
おそらく2人とも世の中にその才能を遺憾なく
発表し、ノリにノリ出したくらいの時期。


カタカナで始まる言葉をタイトルに、
それぞれが数行から2~3ページでおわる短い小説を書く。
お互いのやりとりは特になく、
大体半分ずつ書いている。
「ア」から始まり「ワ」まで101篇収録されている。
お互いの小説につながりはないので
適当にページを開いたところから読める。
しばらく経ってからまた一部を読み返しても良い感じ。


こういう短い小篇は、
やはり大きな展開ではなくて、
情景や場面を切り取ったものになりやすい。


村上春樹の書くものは、「象がハイヒールを履いて
自分は象の世界では人気があるのだ」なんていうような、
ちょっと狐につままれたような印象のものが多い。
でも、それに多くの示唆を含んでいるわけじゃなくて、
適度にライトで読みやすい。
彼の他の作品より少し直球で皮肉っぽい印象があって、
なんだか糸井の影響を
すこし受けたんじゃないかなんて勘ぐってみたり。


それに対して糸井重里は、
世の中を斜めに見るというかいつも通りな感じ。
いままでなんてことなく見過ごしてたけれど
言われてみると確かに変よねって
相槌を打っちゃうような鋭い切り口。


個人的に好きだったのは
アイゼンハワー」「コーヒー」「ゼロックス」。
5年後に読んだらまた変わるかもしれない。


こういう類の本は
常に1冊手許にあるといいかも。
気分転換、思考転回、寝る前などにも
服用できます。