Sarah Sze展

kta6662008-05-04

  • 場所 銀座メゾン・エルメス8階フォーラム
  • 会期 2008.02.08~05.11/11:00~19:00(会期中無休)
  • 入場料 無料

ニューヨーク生まれの女性アーティスト、
サラ・ジーの展覧会。
一昨年東京都現代美術館にて催された
カルティエ現代美術財団コレクション展で初めて見てから
気になっていた作家が再来日したので
遅ればせながら見に行ってきました。


エレベータで8階まで上がると
いきなりスタッフの方に
「足下お気をつけ下さい」と言われて視線をおとすと、
床に数本の青い糸が張られている。
突然作品の中に放り投げられるように
展示場の至る所に作品がある。
歩いて回るところと作品の間に柵などはなくて
自由に近づいてみることができる。
どこまでが作品かわからなくなってくる。


彼女の作品は
ペットボトルやハサミ、松坂屋のレシートなど
日常に溢れるものでサイトスペシフィックな立体物を構成することで知られる。
建築家の親を持つ彼女が日常のものを使って
風景のようなものを作り出していることは興味深い。


ものが多い、ということと「雑然としている」という状態は
しばしば同じことのようにいわれるけれども、
この作品にはそんな「雑然とした状態」という形容はふさわしくない。
ある緊張感をもって配置されている。
配布されるパンフレットに長谷川祐子が適切な文章を書いている。
「一つ一つは力学的世界観によって記述されるような受動的な物質観ではなく、
自発的な活動を伴う物質として見ることができる。」
カオス理論、バロックに照らしての評価が鋭い。


点在して直立する虫ピンが小さな植物が萌芽しているように見えたりする。
それは倒れている状態が物理的に安定している状態だと
僕たちが生活の中であらかじめ知っているからだ。
それぞれのものがそのものとして在る状態を保ちながらも、
新しい関係性の中で輝いて感じられる。


訪れている人たちはみんな覗き込むように見ていました。
僕も2時間くらい遠くから眺めたり
近づいて触れるくらいの距離で見たりしていました。
それでも飽きない。
多くのことを発見できる楽しくて奥が深い展覧会。