ふじようちえん内覧会

kta6662007-05-12

古くなってしまった幼稚園を建て替えた作品。
手塚建築研究所の代表的住宅作品である
「屋根の家」のコンセプトをもとに、
屋根に上って遊べるようになっている。
今日、内覧会として一般に公開され
手塚夫妻の講演もあり、盛況となった。
東京の都心から少し外れたのどかな町並みにたつ
この幼稚園に足を運びました。


「幼稚園において仲間はずれとなるような空間を作りたくなかった」
というコンセプトの通り
楕円形のこの幼稚園はいきどまりや空気の留まる所がない。
平屋建てで、三カ所上れる屋根の部分はすり鉢のように
内側に向かって少しだけ傾斜しており、
子供の事が気がかりな先生でもあらゆる所にいる園児に
目が行き届くようになっている。
手塚曰く、
「この傾斜が重要。
単なるビルの屋上とは違う川沿いの土手の斜面に座るような
一緒にいる人と会話が弾むような空間を目指した。」
とのこと。


構成はシンプルなのに園児の遊びが誘発されるような
様々な場が作られている。
壁はほとんど無く、木で出来たパーティションで教室が区切られている。


手塚作品を雑誌で何回か見てきて
仕掛けを作るのが好きなことは知っていたので
この二人の建築家にとって
幼稚園の設計は絶好だろうなと思いました。
建物の中に既存の樹木(けやき)が植わっていたり
照明が裸電球で点々と付いていたりと(照明は角館政英)
なかなか芸が細かい。
建築として様々な行為の余白を残しつつ
キッカケとなるものが要所要所に配置されている。
そのバランスがなかなかよく居心地がいい。
訪れた人々も軒先に手すりの間から
脚を出して気持ち良さそうに座っていました。
楽しいたてもの。