竹光侍

kta6662007-03-30


鉄コン筋クリート」「ピンポン」などで有名な松本大洋の新しい作品。
原作は永福一成。この人はあまり良く知らないんですが。


物語の舞台は江戸。
ある日長屋に下宿するようになった瀬能宗一郎という侍と勘吉という少年のお話。
どこか浮世離れした雰囲気をもつ瀬能に勘吉は興味を示し、行動をともにしようとする。
そんな二人の生活を中心に、江戸に生きる人々の心情や情景を詩的に描いている。


今作で松本の描き方はさらにデフォルメされている。
横顔を描いた絵は片方眼が飛び出していたり。
その操作からはその場の雰囲気を如実に
とらえようとしていることが窺える。
ひとつひとつの線のひきかたに
こだわっていて、本当に絵がうまい。
世界観を構築してその中で遊んでいるような感じ。
小説とかにもあるけれど
うまいなあとか思うものには何か統一された
空気があるように思います。


登場人物のセリフや効果音も語感がいい。
未だ経験した事の無い世の中の
いろんな出来事に対して少年・勘吉の感じる感情が
絵とシンクロしながら伝わってくる。
子供が感じる感動や不安。
松本の以前の作品「GOGOモンスター」でもそれが
綺麗に表現されています。これもおすすめ。